人の本心
法律事務所で働いていた頃の話。
法律事務所の事務長選出で起こった出来事。
当時法律事務所が法人化を進めていた。それに伴い事務局にも事務長という役職を設けて体制を整えようとしていた。
事務長候補は二人いた。
一人は事務歴が長い中途採用の女性。法律事務に関する知識が豊富で、当時実質的に事務局を仕切っていた。
もう一人は、パソコンに詳しく事務所のボス弁護士の担当だった男性。
女性、男性共に言っていたのは、「事務長にはなりたくない」ということだ。
しかし、女性の本音は事務長になりたいというものだった。
この女性、陰でネットでいろいろ書き込んでいた。そこで、この人は他の事務員のことを「部下」という書き方をしていた。そして、その書き込みは不注意なことに事務所でネットにアクセスして行っていたのだが、それが他の事務員にばれた。なお、本人はばれたことを最後まで知らなかった。
事務員皆にばれた女性の書き込みは、他の事務員を部下扱いしていたことだけでなく、自身がアラフォーであるにもかかわらず20代を装って二つの趣味特技を書き込んでいたものであった。この趣味特技が、同僚である他の事務のもので、このプロフィールをパクったことが明らかとなった。その結果、この女性に対する他の事務員の態度が一気に冷たいものとなった。しかし、この女性は他の事務員が冷たくなった理由を最後まで知らなかった。
この直後、女性にとって厳しいものとなる場面があった。ある会議である。
当時その事務局では月に一度環境改善等のための会議を行っていた。
その女性が裏で行っていた書き込みが書き込みがばれた後の会議は、女性にとって厳しいものであった。
その時の会議に、女性はあるアルバイトをいじめるような提案をしていた。これを他の事務員からの猛反対で取り下げさせられることになった。
会議には他の事務員の提案もあった。女性はこれを上から目線で切り捨てようとした。しかし、この時は他の事務員数名からその態度等について猛反発があった。
女性は思っただろう。「今までとは何か違う・・・」
翌日、女性は事務所を休んだ。
事務局のメールには「退職します」というタイトルのみのメールが届いた。
女性が担当していた事務所ナンバー2の弁護士には、詳細をメールで送っていたとのことであった。
ナンバー2弁護士が女性を説得して翌日事務所には来るようになったが、女性は事務所法人化前に事務所を去ることになった。
女性が退職する前に、事務員のうち比較的女性と仲が良かった別の女性事務が女性に「どうするの?」と聞いたことがあったのだが、これに対し女性は「法人化で私は切られた」と言ったらしい。これに対し、他の事務員は「お前が退職するって言ったんだろ?」と内心つっこんだらしい。
そして、事務所を去った後、その女性と年賀状のやり取りをした事務員によると、会議の時に衝突した他の事務員を恨んでいると書いていたとのことであった。
ここで、もう一人の候補者であった男性事務員の話。
会議で揉めた後、この男性とナンバー2弁護士が話をしたらしい。ナンバー2弁護士としては、女性の事務処理に頼り切っていたところがあって、これを手放したくなかったようだった。
ナンバー2が「一緒にやっていけないか?」と聞いたところ、男性はきっぱりと「無理です」と言ったらしい。これで、ナンバー2弁護士は女性の切り捨てを決めたようだ。
そして、この話し合いの際に、男性は自分が事務長をやると言った。隠しに隠してきた本心をようやくここで明らかにすることとなった。
男性はその後事務長に就任した。
女性は事務所退職後もネットに恨み言を書いていた。ナンバー2弁護士については「他の事務員をやめさせてでも残ってほしいと言っていたのに・・・」というものがあった。
さらにその後。
現在、男性は事務所を離れ介護職に就いたらしい。
女性の現在は分からない。
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